ナカノート

徒然なるままに書き散らすブログです。

【まとめ】任天堂の株価 2016年

ご無沙汰しております。中野です。

早いもので、2017年まであと2週間を切りました。社会人の皆さまは仕事に忙殺され、そうでない皆さまは恋人がいれば勝ち組、いなければ必死にバイトやインターンをして現実逃避をしている頃かと思います。

 

さて今回は、個人的に今年何かと話題の豊富だった任天堂について、株価の変動からどんな1年だったのか振り返ってみたいと思います。

本記事はあくまで事実に基づく個人の見解であり、所属する組織の見解ではありません。

 

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(2016/12/21時点での任天堂の株価推移。Yahooファイナンスより抜粋)

 

2016年上半期

特に大きな動きは見られませんでした。遡って調べると、ポケモンgoの情報が飛び交っているのですがマスにとっては影響がなかったみたいですね。逆に、ゲームに詳しい投資家なんかは5月くらいに買い始めたんじゃないでしょうか。

 

事件勃発-2016年7月6日

アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドでPokemon GOのサービスが開始。アメリカでは翌7日には500万DLを突破し、リリース後1週間で2,500万DAUを達成。

その後はヨーロッパを中心に順次リリースされていき、22日にようやく日本でも解禁。この日は金曜日だったので電車が終わった後でも渋谷や新宿を中心にポケモントレーナーが大量発生。この週末は健康的に外出する人が多かった反面、ポケモンGOをだしにナンパする輩も多く、風紀が乱れたとか乱れなかったとか。

気になるこの時期の株価ですが、だいたいこんな感じです。

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7/19に今年最高値の32,700円を記録し、その後は下げ幅に転落。日本でのDL開始日にストンと落ちているのは、この日に任天堂が「ポケモンGOの連結業績への影響は限定的」というコメントを発表したことにあると考えられます。

それでも、リリース前の7月上旬の株価(14,000~15,000円台)までにはならなかったのは任天堂に対する期待値の高さの現れだったと思います。

ちなみに、この時の株価が歴代最高値と勘違いしている人を見かけますが、任天堂の株価の最高値は2007年に記録した73,200円です。この時はDS、Wiiを立て続けに販売した時期で、かつソフトが脳トレWiiスポーツなど高齢者でも遊べるソフトが多く、比較的ユーザーのレイヤーが限定的だったゲーム業界の垣根を壊すことに成功したとの見方が徐々に広まっていったため、というのが大筋の見解です。

スーパーマリオラン発表-9月8日

8月は7月末と同じくらい(23,000~24,000円台)の株価でした。そして9月8日に年内にスマホ向けタイトルの「スーパーマリオラン」をリリースすることを発表しました。当日のプレスリリースでは、Appleのティム・クックCEOが「めっちゃファンだわー、期待してる」旨のコメントをしたことも併せて公表されており、再び上昇気流に乗り始めます。発表当日の高値は29,200円に昇り、その後も27,000円台で推移していきます。

期待はずれのNX-10月20日

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 (ニンテンドースイッチ。任天堂のHPより抜粋)

以前よりプロジェクトコードNXで知られていた任天堂の次世代ハードがこの日初公開されました。据え置き、携帯のどちらもできるという小学生でも予想できるやんけ!というコンテンツだったため、投資家の期待を裏切る結果となり株価が下落しました。

ただ、個人的には動画を見る限りだと簡単なようで結構すごい技術だと思っています。特に据え置き→ポータブルに以降した時にスムーズに画面が切り替わって継続してplayできるのは中々真似できそうでできないことだなと。

前日20日には27,270円でしたが発表の翌日には23,970まで下がりました。その後は暫く25,000円前後が続きます。

 

持ち直し-ポケモン最新作発売-11月18日

11月18日にポケットモンスターの最新作であるサン/ムーンが発売されました。初回出荷本数が全世界で1,000万本を突破するなど好調な滑り出しでした。収益があまり任天堂に還元されないポケモンGOと違い、本作は任天堂の取り分も大きく、投資家も概ね期待感を膨らませたようなマーケットになりました。

発売開始日には久々に26,000円を超える始値でスタートし、そのまま27,000~28,000円で取引されていきます。スーパーマリオランもあるしきっと好調のまま新年を迎えるのかなと思ってました。

 

スーパーマリオラン、賛否両論の影響-12月16日

12月16日の午前3時とかいう微妙な時間にローンチした同作ですが、やたらと1,200円というワードが飛び交う作品となりました。その理由はすでにご存知の方も多いかとは思いますが、チュートリアルを経てクッパを倒そうと思ったら1,200円ぷりーずというポップアップが登場するというもの。

仮にもソシャゲの会社に勤める身としては、このクオリティーで1,200円で全部遊べるのは良心的な価格設定だと思っています。ただ、社会には課金ゲーは何が何でも無課金で遊ぶという謎のポリシーを持った人間が多く、課金しないと遊べないクソゲーという批判が目立ちました。

結果、もともと先週から売り先行の注文が緩やかに続いていたようですが、その流れに拍車がかかり、一時前日比5.6%安というNXショック以来の下落率となりました。12月19、20日は連続して始値24,000円台となりBloombergなかなか残念な見出しの記事を書かれてしまい、2016年はこのまま幕を閉じるものと思われます。

 

まとめ

とまぁいまいまで言ってしまうとネガティブな論調になってしまう任天堂社ですが、2015年までの株価は長いこと約11,000円だったこと、2016年開始時には約15,000円だったことを踏まえると(投資家的には)素晴らしい1年だったと言えるのではないでしょうか。やはりポケモンGOの爆発的な人気を見ると、妖怪ウォッチにはリプレースできないであろうIPの強さを感じ、底力のある会社だなと思います。

 

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THE BUSINESS DAY メモ

久しぶりの更新な気がします。

転職してから本当に時間が経つのが早い。。

 

メルカリ社主催のコーポレート職をテーマにしたイベントに参加してきたので、

その時のメモを残しておきます(敬称略)。ご参考になれば幸いです。

また一部聞き間違いがあるかもしれないので、その点はご容赦頂ければと思います。

修正してほしい事項がありましたらご一報ください。

しかしメルカリさんのパワーはすごいですね。

 

第一部 最強のコーポレート組織の作り方

元グリーの青柳さん×メルカリ小泉さん

▶︎グリーのIPO準備は10人で進めた

▶︎会社の拡大と整備に奔走しつつ、シナジー狙いで調達したKDDIとの協業を進めた

▶︎この時の時価総額は既存株主のGCPから2~30億と言われたが、50億になんとか引き上げた

▶︎メルカリはVCやエンジェルオンリー事業会社の色をつけたくない

▶︎Zyngaが日本を席巻しているのを見て、グローバルで勝負する必要を感じた

▶︎OPは面で勝負するビジネスなので、まずは各国に張って勝てる市場を見極めた

▶︎海外組織構築は言語面を考慮して青柳さんが担当することに

▶︎たらればがあるとしたら、グローバル展開の直後にスマホがヒット、ネイティブシフトすべきだったかも

▶︎スマホのアプリはグローバルで勝負せざるを得ない

 とはいえ、まずは国内で伸ばす(小泉さん)

▶︎グローバルの勝負って本当に重要?海外はとにかく0から組織を作るのでかなり大変

 グローバルはどうしても目先の大きな目標を追いかけがちになる

▶︎自分たちの領域で言えばeBayが古くなっており、CtoCの覇権を握れるチャンス(小泉さん)

▶︎楽天ZOZOの国内の事業ドメインを増やし、基盤を確立し時価総額を上げてからの海外展開は賢い

▶︎未上場のメリットとして、定期的な開示が不要だったりSEO採用ができたりする

▶︎キャッシュが回る中でIPOしたのは、モバゲーがCM打っている中でマスを追いかけないと負けると判断した

▶︎ただし、当時の環境が今と同じだったらIPOしないだろう、自分がメルカリならIPOは引き延ばす

 今は価値のあるSOや成長機会を想起させるなど未上場プレミアムがある

 グリーIPO時はそもそもスタートアップという概念が国内で浸透していなかったので、採用力が落ちなかった

▶︎今はIPO前の会社の方が優秀な人が集まる、IPOして優秀な人が集まるのはmixiが最後

▶︎青柳さんは採用や社内文化の浸透への投資をポリシーとしている

 法務や採用担当みたいなキーポジションにはお金を惜しみなく使いたい

 北米の会社では採用専任を4人つけた

▶︎人数の拡大に合わせて組織づくりのメソッド、コミュニケーションが変わる

 200人まではビジョン/ミッションに共感してくれる人が集まるが、それを超えるとやりたい仕事をするために人が集まる

▶︎プロダクトが強い会社はプロダクトが文化を作るために、不調になると求心力が大きく落ち始める

▶︎会社のバリューはとにかく目に付く所に置く、社員がバリューの言葉で遊び始めたら勝ち

 評価もこれに沿って行うべき

▶︎事業部門と管理部門の兼務はお勧めできない、人間どうしてもどっちかに偏る

  

第二部 Techメディアから見る急成長スタートアップのPR戦略

TechCrunch岩本さん×BRIDGE平野さん×メルカリ中澤さん

▶︎メルカリは黒字化するまでは表舞台に出ること自体避けていた

▶︎メディア側から見ると経営陣がIR戦略に強いのが印象的だった

▶︎例えば、84億を調達した時に自分たちからユニコーンなんですよ、と言ってきた

▶︎特に小泉さんの立ち回りと数字の出し方がかなり上手い

 あえてiOSAndroidアプリのリリースを分けて、iOSの時にEVからの調達も同時発表、その1ヶ月後はユナイテッドからの調達を発表

 つまり最初の1年は毎月リリースが止まらない状態だった

▶︎スタートアップはどうしてもグレーゾーンを走ることがある

 ここで担当者不在とかにして時間経過による鎮火を目論むところは成功しない

 メルカリはその点でネガティブ対応にしっかり担当者つけて懇切丁寧に説明する

▶︎これはmixiなどtech系大手から経験者を採用することで、緊急時のFAQがナレッジとして共有されている

▶︎メルカリやソラコムなどの急成長企業のPR戦略の共通点として、ひとつひとつのプレスに目的を持って臨んでいる

 また、業績が好調な時、鈍化した時でメディア対応が変わる

▶︎リリースの内容に応じてメディアに合わせる必要は全くない

▶︎KPIで広告費換算置くのは良くない、ちなみにメルカリはIRにおいてKPIはなく、市況に応じた戦略重視

 これは広報の内容がそのままDL数だったり採用人数に影響する以上、全社のKGIに左右されるため

▶︎サービスに関するニュース/記事はヤフコメやはてなでの反応があったらブランディングに成功していることの表れ

 

第三部 メガスタートアップのファイナンスの実情

GCP高宮さん×メルカリ長澤さん

▶︎高宮さんがメルカリに投資したのはリシーズBラウンド

 ぶっちゃけ他のシリーズBと比較すると評価額が高かったが、チームの構成と山田さんへの信頼から額面通りで入れたかった

 またエッツィが北米でリリースされ好調だったため、フリマ来るかもという予想も影響

▶︎GCPの投資委員会は、他のパートナーの「この企業は時代を象徴する企業になる気がする」という一声で決定

▶︎他の企業と比較すると、高速でサービスを改善してエグゼキューションする点は国内スタートアップでも圧倒的

 これは山田さんを始め、小泉さん、石黒さんのように経験豊富で優秀な経営陣によるものだと思う

▶︎また、人数が50人に満たなかった段階で既に権限移譲が進んでいた

▶︎従って、投資して1年以内にはコンサル時代に担当していた大企業と同じ悩みを抱えていた

▶︎メルカリの累計調達額は約125

▶︎Airbnbの例を見ると、敢えて上場せずに調達をするのは今後有力な選択肢になると思う

 ただ、投資家のファンド期間は十分に気をつけた方がいい

▶︎でかいMAファームからキャリアパーソンをCFOでもなんでもなく一投資担当を連れてこれるのは、メルカリの採用力の賜物

 普通はシリーズBCレベルだとそういう人を引っ張れない

 採用だけじゃなく、コーポレート部門全体でレバレッジのかけ方が上手い

▶︎かつてリクルートから起業家が排出されたように、今後はメガベンチャーから良い起業家が生まれると思う

▶︎起業家をキャリアではなく、ライフスタイルとして位置付けるのが良いと思う、これからはそういう時代

 

第四部 急成長事業を支える管理部門の裏側

ユーザベース村上さん×メルカリ掛川さん

▶︎ユーザベースはIPOに向けて、最初は経理、その後は労務管理の専任をジョインさせた

▶︎100人が見えた段階で今度は総務専任者を採用、100人到達時に法務担当者、120Overで広報担当者

▶︎すなわち、事業計画に沿ってある程度採用する人を決めていた

 IPOは過去数年の数字や活動を見られるのでガバナンスを最初から意識する必要がある

▶︎上場主幹事、監査法人は担当者との相性も重要、「この人と一緒に歩みたいか」

 特にピンチ時に二人三脚で乗り越えられるかどうか

▶︎IPOは証券会社の審査と証券取引所の審査の2つのフェーズがあり、ユーザベースは前者では2名で担当

 取引所の審査に移行するタイミングでもう1名追加、一部外注した

▶︎規定一つとっても実情にそぐうものじゃないと審査が通らない

▶︎とある企業が上場準備に入ったとき、予算に問題があった

 これを見て、SPEEDANewspicksそれぞれにPLを作れる執行役員を配置した

▶︎IPO準備は地味で細かい作業が膨大な数あり、これを短期で捌き切るのでかなりのハードワーク

 また、可能であれば資金調達や資本提携、オフィス移転を担当した人がそのままやるのがベター

▶︎ベンチャーの管理部門に金融系やコンサル出身者が多いのは、この作業を仲介者や外注先として経験しているため

▶︎ユーザベース、メルカリでは全ての従業員に税制適格SOを付与

追加調達の手引き

こんにちは、中野です。

先日よりちらほらお伝えしていたSlideShareについて、いよいよ試してみようかと思います。

追加調達の手引き

最初のスライドは何にしようか考えたところ、コロプラネクスト出資先に向けて書いた資料が、出資先やコロプラ本社の関係者に好評だったので、それをUploadしようかと思います。

※なお、学生向けにわかりやすさ重視で書いたので、やや稚拙な部分があるかもしれません。その点はご容赦くださいませ。

 

米大統領選の反応 まじめなものから便所の落書きレベルまで

たまには本業から離れた記事をポストしようと思います(引き出しの多さをうまいこと見せたいだけですがw)

取り上げるならタイムリーなものと思い、やはり昨日の大統領選がいいなぁと。

ということで、選挙戦結果に対する反応の中でも、個人的にいいと思ったものをまじめなものから2chのレスに至るまでピックしてまとめてみました。

識者の反応

トランプ氏の政策がすべて実現するとは思われないものの、大統領は外交・安全保障政策に絶対権限を持っているため、この分野のリスクについては注意するべきだろう。」

2016/11/9 ロイター<SMBC日興証券 金融財政アナリスト 末澤豪謙氏>

 「異なる立場の人たちを融合しようという理想を掲げて人権やポリティカルコレクトネスを追い求め、世界の標準になろうとしたアメリカのリベラリズムを行き詰まらせてしまったのかもしれません。」

2016/11/9 YAHOOニュース<やまもといちろう>

 Everyone must stop saying they are "stunned" and "shocked". What you mean to say is that you were in a bubble and weren't paying attention to your fellow Americans and their despair. YEARS of being neglected by both parties, the anger and the need for revenge against the system only grew. Along came a TV star they liked whose plan was to destroy both parties and tell them all "You're fired!" Trump's victory is no surprise. He was never a joke. Treating him as one only strengthened him. He is both a creature and a creation of the media and the media will never own that.

訳:「あり得ない」とか「ショッキングだ」と嘆くのを辞めよう。それを口にすることは自分の殻に閉じこもったり、他のアメリカ人や彼らの絶望に目を向けていないことを意味する。両政党にネグレクトされた人たちの、既存のシステムに対する怒りや復讐心が大きくなっている。そこに現れたのが、両政党をぶち壊し、「お前はクビだ!」とのたまうTVスターだ。トランプの勝利は驚きじゃない。彼はジョークなんかじゃなかったんだ。そして、支持が彼をさらに強めている。メディアは決して認めないだろうが、彼はメディアが産んだ怪物なんだ。

マイケル・ムーアFacebookより

SNSでの反応

「うろたえているというよりはむしろ、その気になればなんだってできるということがわかったよ」-オシ・ユームニオラ

ブレグジットって何?とググったのはいつの日のことだったか…」-サラ・シルバーマン

「トランプはバカでレイシストだが正直だ。ヒラリーは賢くてリベラリストだが嘘つきだ。アメリカは正直者を選んだ」

「トランプの何がいいって、政治活動に必要な資金を全て自分で賄えることだよ。『オレは金で買えない!』って、政治家に最も必要な素養じゃないか」

「今日、中国のインターネットユーザーは民主主義による国民の勝利を羨ましく思ったことでしょう」

「立派な人たちが決めた既存のルールに『いやだよ』と普通の人たちが言った選挙、それがアメリカ大統領選挙だったのかもしれません。衆愚的という批判もありますが、選挙とは有権者というのはそういうものであり、立派な人たちの作った枠組みに辟易しているのが今の普通の人たちなのです」

2chでの反応

「これ100年後の歴史の教科書にのるかもしれんな」

「日本にとって確実な害悪であるヒラリーと、世界にとって害悪になるかもしれないトランプならまだトランプの方が可能性あるわ」

「トランプが勝てば戦争になるというけど、トランプ自身は攻撃を受けない限り戦争起こさないだろう。逆にいうとNATOとか機能しなくなるからアメリカ以外で戦争が増えるという皮肉」

「綺麗事だけでは生きていけないという本音の表れ」

感想

こういう時って結構気の利いたジョークがSNSで飛び交うものですが、それが世界的に見られなかったことを考えると、それだけ衝撃度が高すぎたということなのでしょう。2chのレスにある通り、政策の結果次第では本当に歴史の教科書に載るような出来事を目の当たりにしているのかもしれません。

個人的には、月並みですがこの前のブレグジットも考慮すると、地球規模でいわゆるエリートが作り上げてきたシステムに庶民がNoを突きつけ始めているのだと思いました。

日本でも、最近多様性や平等を追求するあまり「言いたいことが言えない」「ちょっと息苦しいかな」ということが囁かれ始めており、そのうち大きな変化が訪れるかもしれませんね。

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スタートアップとスモールビジネスの考察

こんばんは、中野です。

先日、スタートアップを立ち上げた学生の方とお話しする機会があったのですが、そのビジネスモデルが聞く限りは所謂スモールビジネスで、エクイティでの調達を受けるには適さないモデルでした。

自分は嘘をつくのは下手なので、投資を受けるには相性の悪いビジネスであることを丁寧にお伝えしたところ、じゃあ相性の良いビジネスってなんですかと深堀されました。

言われてみると明確にこれ、というモデルを考えたことがなかったので、一緒に考えたところその学生さんも納得するブレークスルーを得られたので、今回はその辺のことをお話ししようと思います。

そもそもスモールビジネスとは?

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スモールという言葉がネガティブな印象を持たせてしまうのですが、時間と共に徐々に成長するビジネスのことを指します。

このモデルは安定して成長するため、借りた金額に応じて定期的に利息分を返す融資による調達が適しています。もちろん、お金を借りないにこしたことはありません。

デットによる調達は、お金を提供する側からすると利息含め貸した金が返ってくれば良いため、別に会社が上場しようと売却されようとあまり関係がありません。

これに加え、株式(=経営権)を持っているわけでもないので、起業家側からすると意思決定のためにだれだれにお伺いを立ててというようなことも不要です。

従って、あくまでも独立や「いつか成功しよう」と思って起業する場合は安易に株式を発行するのではなく、足りない分だけ融資で賄うような財務計画を立てることをお勧めします。

スタートアップに適したビジネスモデル

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では、比較されるスタートアップ向けのビジネスモデルはどんなものかというと、最初は苦戦が免れないが、ある時を境に爆発的に成長するビジネスモデルを指します。

スタート当初は借りたお金どころか自分たちの食い扶持すら稼げないので、定期的にお金を返さなければならない融資は調達手法として相性が悪く、株式を発行し、会社が儲かった時に配当という形で株主に分配する調達の方がより適しています。

筆者も所属する、いわゆるベンチャーキャピタルは、引き受けた株式がExitされた時の莫大な利益を狙います。そのために、日頃からゴールに向けたアドバイスや支援はもちろん、時には株主として会社に対して厳しい姿勢を取ります。

近年の日本、とりわけ東京だとVCの数が増加し、強気な態度を取るとレピュテーションが下がり投資先がいなくなってしまうのであまり見かけませんが、本場のシリコンバレーでは普通に起業家と投資家が喧嘩するくらい、投資家の影響力が強いです。これは一般的に投資家が偉いというわけではなく、あくまでも株式を引き受けたプロとして起業家と接しているためです。立場がイーブンなんですよね。

では、どんなビジネスモデルが株式調達に向いているのか?

と、ここまではGoogle検索ですぐに出てくる情報でわかるものかと思います。もっと言えばFacebookとかUberなんかがスタートアップと呼べるモデルであることも広く知られています。

では、それらのビジネスの本質はどこにあるのか?冒頭に述べた学生の方は、まさにそこを知りたかったのです。

筆者も最初は何かをリプレースするようなビジネスだよと答えましたが、自分たちのビジネスはとある何かのリプレースであると、確かに具体的に話を聞いていくとそのような気がします。

サービスの核に最先端のテクノロジーが活用されているもの?いや、どうも違う気がする、とあれこれ考えている内に一つの答えを得ることができました。

それは、既存のサービスより優れていることが「すぐに」わかるものでした。

例えばUberを引き合いに出すと、マッチングしたドライバーを利用することで、明らかにタクシー会社を利用するよりも低コストに抑えることができます。

他にも、電話をリプレースしたとされるLINEについても、本当に誰かと通話できることがその場で理解でき、通話料を請求されることもありませんでした。スピード重視のスタートアップでは、ユーザーが素早くそのサービスの利点を認識できることが鍵を握っているのです。これはtoBのサービスでも同じことが言えると思います。

従って、プロダクトを作り込むことを最優先に置くため、最初は人件費ばかりがかかってしまい赤字になることが多いです。初期の時間軸が凹んでいるのはそのためだと思われます。

まとめ

コンサルっぽくスタートアップのビジネスに必要な要素を3点にまとめると、

・提供するサービスが既存のものを破壊する、もしくは全く新しいもの

・そのサービスの利点が、ユーザーにとってすぐにわかるもの

・大企業が欲しがるもの、もしくは社会にとって有意義なもの(Exitの観点より)

 

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コンサルとシードVCの違い(後編)

企業価値向上手法〜「頭」で支えるコンサル〜

続いて、企業の経営価値を向上させるやり方の差異を説明します。

まずコンサルタントの場合、2010年代に入ってから働き方が見直され、マネージャー未満の職階では1人1プロジェクト制を敷いているファームがほとんどかと思います。その分クライアント企業に席を置き、セキュリティーカードを受け取り、場合によってはその会社の名刺まで貰って現場に入り込んでがっつりサポートすることが多いです。正にその会社の1従業員として問題解決に全力を注ぐというスタイルです。

もちろん、頭の中が何もかもクライアントに染まっていてはバリューを発揮できないので、冷静にその会社あるいは部署が持っていない知見や考え方を提供する必要があります。

コンサルタント至上命題は顧客の経営イシューを現場と一緒に脳に汗をかいて解決し、企業価値を高めることにあります。そのためにはクライアントの頭となり時には手足にもなる心構えが何よりも大事です。

企業価値向上手法〜「人」で向き合うVC〜

ではVCの企業価値向上手法はどうかというと、前編で説明した通りとにかく投資をすることが主な業務のため、数を打てば打つほど一人ひとりが抱える担当企業も多くなってきます。悲しいかな、人間は誰しも1日24時間しか与えられていないので、出資した企業についてコンサルタントのように現場に入り込んでゴリゴリ支援するということは難しいです。

じゃあどうやってサポートすんのというと、これは各キャピタリストで意見の分かれるところだとは思いますが、定期的な数字のモニタリングやプロダクトのレビューは当然として、個人的には代表取締役をはじめ、経営陣のメンタル面を支えることだと考えています。小さな悩みでも聞く、少ない時間であっても壁打ち役になって思考を整理してあげる、何かの折にご飯を奢るなど、イメージ右脳的なサポートを行います。とりわけスタートアップでは、些細なことからチームがバラバラになることが多々あるので、そこをケアするだけでも結果が変わったりします。

野球で例えると、コンサルタントは助っ人外国人ですね。短い契約期間の中でチームの一員として、バッターであれピッチャーであれ自分の強みを生かしたハイパフォーマンスで勝利に貢献します。一方VCは監督やコーチでしょうか。コンディション確認や勝つための戦術を伝授しますが、試合に勝つか負けるか最後は選手(=出資した会社)次第というところがあります。

求められる能力

ここまでの情報より、それぞれの職種で求められる能力をまとめると、

▶︎コンサルタント

・様々な業界、企業の現場レベルでの情報や知見

・論理的思考やドキュメーテーションなど、タスクを円滑に進めるスキル

・期限内に必ずイシューを解決するというオーナーシップ

▶︎シードVC

・起業家に好かれるコミュニケーションを取れる能力

・フットワークの軽さ、何でも引き受ける泥臭さ

・何らかの事業をドライブした経験(ITを駆使した事業だとなお良し)

最後に

よくコンサルや投資銀行からVCに転職したいあるいはしたという話を聞きます(何よりも筆者がその一人)。確かにVC全体で見るとメインストリームのバックグラウンドではありますが、投資ステージによって職務内容や仕事の進め方がそれらの職種と全然違うということがおわかり頂けたかと思います。

何が言いたいのかというと、前編をFBにポストした時にも書いたのですが、職種なんて似たように見えるものでも大きく違っていることはザラにあって、例えば広告代理店なんかでもストラテジストとマーケッターでは役割や適性が異なるかと思われます。なので、今の仕事が上手くいかなかったとしても気にする必要は全くないですし、そういう時は視野を広く持ち、「俺はあの分野なら上手くいく」と言い聞かせることが必要です。間違っても思い詰めて倒れるなんてことのないように!

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コンサルとシードVCの違い(前編)

こんにちは。先日25歳になりました。お祝いのメッセージやお誘いありがとうございます!お陰様で四半世紀を生きることができました。後は死に向かってどうやったら一番ひっそりと息を引き取ることができるのか?を考えて突き進んでいこうと思います。

ハロウィンなのに暗い話でしたね、すみません。さて今回は、筆者の前職であるコンサルタントと現職のベンチャーキャピタリスト(シード)の違いについて、需要があるのか不明ですがアソシエイトクラスの業務の範囲内で説明したいと思います。

そもそもシードVCとは?

本題に入る前に、よくシードとかレイターって何?と聞かれるので、簡単に説明しておきます。

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*1

上記の画像にある通り、ベンチャー企業はその成長過程において資金調達先が異なってきます。筆者が所属するVCはシードステージ・スタートアップを投資対象としており、登記したてやまだ1回しか調達したことがないような企業に投資します。

この話をすると非合理的だねという指摘をよく受けます。確かにこのステージの企業が成功する確率はミドル・レイターと比して極めて低いですが、その分シェアを多く取る(=成功した時のリターンが莫大)ので、いわゆる「ホームランか三振か」の世界になります。

世間的にはジャフコさんやグロービス・キャピタル・パートナーズさんが知られていると思われますが、彼らはミドル〜レイターのステージに投資するため、ビジネスモデルが若干異なります。ここはまた別の機会にお話しようかと思います。

仕事はどこから生まれるか?〜コンサルの場合〜

コンサルティングファームの下っ端だと、基本的に自分から案件を作るということはなく、所属するインダストリーの上長にどこどこのプロジェクトにアサインするからよろしく、と言われて仕事が始まります。そうしてアサイン先で期待されている役割をこなし、スキルをつけてコンサルタントとして成長することで昇進していきます。もちろんプロジェクトの中でクライアントに認められると、バイネームで後続フェーズや同じ会社の別の案件をお願いされたりします。そのため、数字に落とし込める明確なKPIというものはなく、個々の成長に応じて足りないものを身につけたり得意なものを更に伸ばす、みたいな定性評価が中心です。

しかしマネージャーになると役割がガラッと変わります。これは数多くあるコンサルの業界本に書かれていることではありますが、マネージャーになると今度は案件を作ることが仕事になってきます。具体的にいうとインダストリーや自分が過去に担当したクライアントに経営課題がないかヒアリングしたり、あるいは案件の入札情報に基づいて、当該課題に関して自分達ならいくらぐらいの金額でこんだけのバリューを発揮できるのでよろしくお願いします、という法人向けソリューション営業がメインです。こちらのKPIはわかりやすく受注案件数または受注金額ですね。

話は逸れますが、こんな事情からマネージャー前後の職階は最も人の出入りが激しいクラスターだったりします。新卒からコンサルタント(意味合いとしてはアナリストの方がしっくりくるかも)として鍛えられてきた人は、分析や戦略立案は得意だけれども営業なんかムリといって事業会社の企画系の職種や金融機関に転職します。逆に、もはやPCワークは苦手だけれども押しが強く、人や案件を引っ張ってこれるザ・営業みたいな人がいきなりマネージャーでコンサルに移ってきたりします。

仕事はどこから生まれるか?〜シードVCの場合〜

一方シードVCの場合ですが、上で説明した「ホームランか三振か」というスタイルのため、とにかくバットを振ることが仕事になります。ここでいうバットを振るというのは投資案件を作ることにあたります。即ちベンチャー企業を探しては投資することがメイン業務です。

察しが良い人は気づいていると思われますが、まずは投資先を見つけて来ないことには始まらないため、各々色々な手段を使って起業家を探します。すでに実績があるVCには起業家側から問い合わせが殺到するのですが、そうでないVC、または人員が多すぎて問い合わせを捌いているだけでは足りないようなファームはこのソーシングを行わなければなりません。ソーシングを分解するとおそらく営業×採用じゃないかと個人的には思っています。営業の素養としてとにかく顔を売ること、また採用の素養である人の見極めが重要です。シードステージはビジネスモデルが定まっていないので代表者やチームが優秀か?というのは鍵を握っています。

従って、KPIは凡そ何社に投資、何人と会ったかというものになります。明確に数字に落とし込めるあたりも営業っぽいですね。

後編に続く

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*1:信金キャピタルのHPより抜粋