ナカノート

徒然なるままに書き散らすブログです。

コンサルとシードVCの違い(後編)

企業価値向上手法〜「頭」で支えるコンサル〜

続いて、企業の経営価値を向上させるやり方の差異を説明します。

まずコンサルタントの場合、2010年代に入ってから働き方が見直され、マネージャー未満の職階では1人1プロジェクト制を敷いているファームがほとんどかと思います。その分クライアント企業に席を置き、セキュリティーカードを受け取り、場合によってはその会社の名刺まで貰って現場に入り込んでがっつりサポートすることが多いです。正にその会社の1従業員として問題解決に全力を注ぐというスタイルです。

もちろん、頭の中が何もかもクライアントに染まっていてはバリューを発揮できないので、冷静にその会社あるいは部署が持っていない知見や考え方を提供する必要があります。

コンサルタント至上命題は顧客の経営イシューを現場と一緒に脳に汗をかいて解決し、企業価値を高めることにあります。そのためにはクライアントの頭となり時には手足にもなる心構えが何よりも大事です。

企業価値向上手法〜「人」で向き合うVC〜

ではVCの企業価値向上手法はどうかというと、前編で説明した通りとにかく投資をすることが主な業務のため、数を打てば打つほど一人ひとりが抱える担当企業も多くなってきます。悲しいかな、人間は誰しも1日24時間しか与えられていないので、出資した企業についてコンサルタントのように現場に入り込んでゴリゴリ支援するということは難しいです。

じゃあどうやってサポートすんのというと、これは各キャピタリストで意見の分かれるところだとは思いますが、定期的な数字のモニタリングやプロダクトのレビューは当然として、個人的には代表取締役をはじめ、経営陣のメンタル面を支えることだと考えています。小さな悩みでも聞く、少ない時間であっても壁打ち役になって思考を整理してあげる、何かの折にご飯を奢るなど、イメージ右脳的なサポートを行います。とりわけスタートアップでは、些細なことからチームがバラバラになることが多々あるので、そこをケアするだけでも結果が変わったりします。

野球で例えると、コンサルタントは助っ人外国人ですね。短い契約期間の中でチームの一員として、バッターであれピッチャーであれ自分の強みを生かしたハイパフォーマンスで勝利に貢献します。一方VCは監督やコーチでしょうか。コンディション確認や勝つための戦術を伝授しますが、試合に勝つか負けるか最後は選手(=出資した会社)次第というところがあります。

求められる能力

ここまでの情報より、それぞれの職種で求められる能力をまとめると、

▶︎コンサルタント

・様々な業界、企業の現場レベルでの情報や知見

・論理的思考やドキュメーテーションなど、タスクを円滑に進めるスキル

・期限内に必ずイシューを解決するというオーナーシップ

▶︎シードVC

・起業家に好かれるコミュニケーションを取れる能力

・フットワークの軽さ、何でも引き受ける泥臭さ

・何らかの事業をドライブした経験(ITを駆使した事業だとなお良し)

最後に

よくコンサルや投資銀行からVCに転職したいあるいはしたという話を聞きます(何よりも筆者がその一人)。確かにVC全体で見るとメインストリームのバックグラウンドではありますが、投資ステージによって職務内容や仕事の進め方がそれらの職種と全然違うということがおわかり頂けたかと思います。

何が言いたいのかというと、前編をFBにポストした時にも書いたのですが、職種なんて似たように見えるものでも大きく違っていることはザラにあって、例えば広告代理店なんかでもストラテジストとマーケッターでは役割や適性が異なるかと思われます。なので、今の仕事が上手くいかなかったとしても気にする必要は全くないですし、そういう時は視野を広く持ち、「俺はあの分野なら上手くいく」と言い聞かせることが必要です。間違っても思い詰めて倒れるなんてことのないように!

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